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■エイズ予防のための戦略研究とは
  「戦略研究」とは、わが国を支える多くの国民の健康を維持・増進させるために、優先順位の高い慢性疾患・健康障害を標的として、その予防・治療介入および診療の質の改善介入等、国民の健康を守る政策に関連するエビデンスを生み出すために実施される大型の臨床介入研究であります。

「戦略研究」は、「厚生労働省が、あらかじめ国民のニーズにもとづいて策定された行政の方針に従って具体的な政策目標を定めた上で、成果(アウトカム)指標と研究計画の骨子を定める」、という点で成果指標、研究計画をすべて研究者に一任してきた、これまでの厚生労働科学研究の一般公募研究および班研究とは一線を画すものとして創設されました。

「戦略研究」の成果指標および研究計画の骨子は、その研究成果を「政策」として全国に均てん化することを前提として作成される必要があります。

エイズ予防対策の更なる推進を図るため、厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)の研究課題として、平成18年度から
「戦略研究(エイズ予防のための戦略研究)」が実施されることになりました。 その実施主体については、平成18年5月18日に開催された厚生科学審議会科学技術部会において、財団法人エイズ予防財団が選定されました。


主任研究者 島尾忠男 
(財団法人 エイズ予防財団 理事長)

〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-3-12 水道橋ビル5階 
■二つの研究グループ
  エイズ予防のための戦略研究では、二つの研究課題が採択され、以下のふたつのアウトカムを達成するために、5年の期間に渡り、研究計画が実施されます。

(1)HIV抗体検査受検者を2倍に増加させる。
(2)HIV診断時におけるAIDS発症者数を25%減少させる。

【研究課題】
 首都圏在住者を対象に毎年効果的な少数のメッセージを期間集中的に多方面から発する。
 木原正博 (京都大学)

【研究課題】
 首都圏及び阪神圏の男性同性愛者を対象に毎年効果的な少数のメッセージを期間集中的に多方面から発する。
 市川誠一 (名古屋市立大学)


■首都圏および阪神圏の男性同性愛者を対象とした
 HIV抗体検査の普及強化プログラムの有効性に関する地域介入研究
  市川誠一 名古屋市立大学看護学部 教授

1.背景と根拠
わが国におけるHIV感染者・AIDS患者は、1996年以降持続的に増加し、2005年4月の累積報告数は1万人を超えた。
2005年度に報告された新規HIV感染者は832人、AIDS患者は367人、1199人であった。
特に男性同性間の性的接触による新規HIV感染者数、AIDS患者数は共に増加が著しく、2005年度HIV感染者報告例の63.6%、AIDS患者の36.8%を占める。男性同性愛者の増加傾向は今後も持続すると考えられる。

平成17年度報告例の感染報告地はHIV感染者456件(54.8%)、AIDS患者207件(56.4%)が東京および関東甲信越ブロックに集中しており、ついで近畿ブロックからの報告数が多く、更なる対策が求められる地域である。
また、感染が発見された時点でAIDSを発症している患者の割合は約30%で推移しており、改善傾向が認められない。

エイズ発症予防のための戦略研究の目的は、HIV新規感染者およびAIDS発症者を減少させることであり、その基本的シナリオは「HIV感染の早期発見と早期ケア/治療を促すこと」である。
HIV感染の早期発見とケアが、新規感染者およびAIDS発症者の減少につながるのは、次の3つの理由による。

 1. AIDS発症以前に感染が判明すれば、HIV治療によりAIDS発症を食い止める事が可能である。
 2. 適切な治療の導入によって、血中ウイルス量が抑制され、セックスパートナーへの感染率を低下させることができる。
 3. 感染の事実を知る事によって、安全な性行動へ変化が期待できる。
   つまり、感染に気づいていない人が早期発見されることは、感染拡大の防止とAIDS発症予防につながる。

以上の理由により、HIV感染の早期発見を軸に本戦略研究が計画立案され、有効性が検討される。


2.目的
本研究では、首都圏および阪神圏に居住する"男性とセックスをする男性"(以下MSM)を対象に、HIV抗体検査促進のための啓発普及、広報戦略プログラムを実施し、HIV抗体検査受検者数の増加、AIDS発症者の抑制への効果を介入前後で評価検討する。

3.成果目標
(1)MSMのHIV抗体検査受検者を2倍に増加させる。
(2)HIV診断時におけるMSMのAIDS発症者数を25%減少させる。

4.研究デザイン
対象地域でHIV抗体検査促進のための啓発普及、広報戦略プログラムを首都圏、阪神圏において協力機関を拡大しながら、段階的拡大のアプローチを用いて実施し、HIV抗体検査受検者数の動向とエイズ発症者数の抑制効果を介入前後で比較検討する。

HIV感染者の約8割が集中する首都圏、阪神圏と同等の比較対照地域を設定する事は困難であり、また、インターネットやゲイネットワークを通じて介入対象外の地域へ容易に情報が拡散するため、本研究では比較対照地域を設定しないが、最終的な評価の段階で都市部である福岡、名古屋のデータを参考値とすることも検討する。

MSMに対する啓発普及、広報戦略プログラムが検査件数の増加に影響を及ぼした程度については、定点検査機関や検査イベント会場において、受検者に対し啓発普及プログラムの曝露状況を質問紙を用いて調査し評価する。
また、MSM集団で携帯電話を用いたリスポンデントドリブルサンプリング法(以下RDS法)による横断調査を経年的に実施し、MSM集団の生涯受検率および過去1年間の受検率の推移を評価する。




■研究グループ体制
  ・エイズ予防のための戦略研究
・首都圏および阪神圏の男性同性愛者を対象としたHIV抗体検査の普及強化プログラムの有効性に関する地域介入研究

(1)研究リーダー
    市川誠一 名古屋市立大学看護学部 教授

(2)研究リーダー補佐研究者
    金子典代 名古屋市立大学大学院(調査・統計解析担当者)
    コーナー・ジェーン 名古屋市立大学大学院(調査・統計解析 担当者)
    張 由紀夫 RainbowRing/akta (プログラムコーディネーター 啓発普及担当)
    辻 宏幸  MASH大阪/dista (プログラムコーディネーター 啓 発普及担当)
    砂川秀樹 ぷれいす東京(調査・分析担当者) 
    岳中美江 特定非営利活動法人法人 CHARM (相談体制担当)
    後藤大輔 MASH大阪/dista (プログラムコーディネーター啓 発普及担当)  

(3)研究班員
    鬼塚哲郎  京都産業大学文化学部 教授
    生島嗣   特定非営利活動法人 ぷれいす東京
    佐藤未光  ひかりクリニック 院長
    井戸田一朗 東京女子医科大学感染症科
    川畑拓也  大阪府立公衆衛生研究所

(4)研究協力組織・施設
東京都南新宿検査・相談室
横浜市南福祉保健センター
東京都福祉保健局 八王子保健所
神奈川県大和保健福祉事務所 
保健予防課 大阪府公衆衛生研究所
大阪市保健所(予定)
大阪市北保健センター(予定)
大阪土曜日常設検査室(予定) 
ぷれいす東京 Rainbow Ring(R2)
日本HIV陽性者ネットワーク・JaNP+
横浜・クルーズ(予定)
MASH大阪
NPO/CHARM
FOLLOW(予定)



 
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