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HIV検査と予防の新常識 8つのポイント

HIV検査ってどんなもの? なぜ必要? いつどこで?……。
新しい情報や考え方にもとづいて、もっとも大切なことをまとめました。
迷ったときにはまずここをチェックしてみてください。
HIVの基本から知りたい方はこちら

2024/03/03更新

HIV検査 8つの新常識

感染していることを
早く知ることは
メリットが大きい。

感染していることを知らずに放置していると、体内でウイルスが増え、免疫力の低下によってエイズを発症するだけでなく、さまざまな重い病気を引き起こす可能性が高くなります。また、自分の感染に気づかないでいると、ほとんどの場合ウイルス量が多いため、セックスの相手にHIV感染が起きやすい状態だと考えられます。

しかし、現在では感染がわかって抗HIV薬を飲むことにより、感染前と同じ生活を続けているHIV陽性者がたくさんいます。また、抗HIV薬を飲み続けてウイルス量検出限界未満になり、それを6か月以上持続している人は、セックスでHIV感染が起きるリスクがゼロになること(U=U)が科学的に証明されています。

早い時期にHIV感染に気づき、適切な治療を受けると、ウイルス量をコントロールして免疫力を維持・回復することができます。これは、自分にとってもセックスの相手にとっても大きなメリットとなります。

男性どうしで
セックスしている
人は、定期的
検査を受けよう。

男性どうしのセックスによるHIV感染は、年齢にかかわらず増え続けています。特に、感染していることに気づかないまま、エイズを発症してはじめてHIV陽性だとわかる人が増えています。

男性どうしでセックスをしている人で、まだHIV検査を受けたことがない人は、まずは一度受けてみましょう。初めて検査を受けるときは不安や緊張があるかもしれませんが、これからのあなたのセクシュアルヘルス(性の健康)にとって価値のある経験となるでしょう。

これまでに検査を受けたことがある人も、男性どうしでセックスをしている男性は、年に1回の定期的な検査を習慣づけましょう。また、セックスをする相手が多かったり、性感染症にかかったことがあったり、コンドームを使わないことがあるなど、リスクが高めの人は半年に1回の検査をおすすめします。また、PrEPを行っている人は3か月に1回の検査が必要となります。

セックスとHIV感染のメカニズムについて、詳しくはHAVE A NICE SEXをご覧ください。

保健所・検査所、
病院・クリニック、
郵送検査
などで
HIV検査を
受けられる。

HIV検査は血液検査で、さまざまな場所・方法で検査を受けることができます。それぞれメリットとデメリットがあるので、自分に合った方法を確認しましょう。

保健所・検査所

無料・匿名(とくめい)でHIV検査を受けることができます。名前、住所、電話番号などを伝える必要はありません。プライバシーは保護されます。また、自分の住んでいる地域以外の保健所・検査所でも検査を受けられます。
保健所・検査所によって、曜日・日時などが異なります。保健所は、1~2週間に1回、平日の昼間に実施しているところが多いですが、夜間や土曜・日曜に検査を行っているところもあります。予約が必要な場合もあるので、事前に情報を確認しておきましょう。

病院・クリニック

本人が希望すれば、自費診療(3,000円~10,000円くらい)でHIV検査を受けることができます。カルテを作成することが多いので、その場合は匿名では受けることはできません。夜間や週末などにもオープンしていたり、HIVや性感染症が陽性とわかった場合に、そのまま治療を開始することができるなどのメリットもあります。ただし、HIVは検査のみで治療を行っていない病院・クリニックもあります。

郵送検査

郵送検査は、インターネット上で購入した検査キットに、自分で血液をたらして検査会社に送るものです。多くの場合、インターネット上のマイページで検査結果を受け取るなど、自分だけが結果を知ることができます。
保健所や病院などに行かずに、自分のタイミングで手軽に利用できるメリットがあります。ただし、郵送検査会社によって検査の信頼度が大きく異なっていたり、HIV陽性とわかった場合のフォローや情報提供の仕方に差があります。

HIV検査を行っている保健所・検査所について、詳しくはこちらをご覧下さい。

HIVの感染初期に
風邪のような症状
でることがある。
見逃さない
ように注意しよう。

HIVに感染すると、2~6週間を過ぎたころに、発熱、のどの痛み、頭痛、リンパ節がはれる、皮膚にあわい発疹(ほっしん)ができるなど、風邪やインフルエンザに類似した症状が半数以上の人に現れます。これらは初期症状と呼ばれるものです。その後、症状は自然になくなってしまいます。

HIVに感染しているかどうかを知るためには、HIV検査を受けることが必要です。ただし、検査で正しい結果を得るためには、感染の可能性のあるセックスがあってから検査を受けるまでの期間に注意する必要があります。

初期症状の現れ方は人それぞれで、まったく症状が出ない人もなかにはいます。そのため、症状だけでHIVに感染しているかどうかを判断することはできませんが、感染の可能性を考え、HIV検査を受けるきっかけにしてみましょう。

HIVの初期症状については、HIVmap POST「見逃したくないHIVの『初期症状』」もご覧ください。

HIV感染の機会から、
1ヶ月くらい経つと
確実な検査結果を
得ることができる。

HIV感染の可能性があるセックスがあってからすぐに検査を受けても、HIVに感染したかどうかはわからないことがあります。

HIVの検査は、血液中のHIV(抗原)と、それと戦おうとする抗体を調べるもので、それらが検査で検出可能な量に増えるまでには時間がかかります。この期間をウィンドウ・ピリオドと呼び、一般的に1ヶ月くらいです。ただし、検査の種類によってウィンドウ・ピリオドが異なるため、保健所などの検査機関に確認するといいでしょう。

ウィンドウ・ピリオド中に検査をして結果が「陽性」であった場合、HIVに感染していると言えます。しかし、検査結果が「陰性」であった場合には、必ずしもHIVに感染していないとはいいきれません。その場合、感染の機会から3か月経過してから、もう一度検査を受けましょう。

もしもHIVに感染していた場合、ウィンドウ・ピリオドはウイルスが増殖している時期にあたり、セックスでHIV感染が起きやすい状態と言えます。セックスには特に注意が必要です。

梅毒や
クラミジアなど、
HIV以外の性感染症
検査も大事!

HIV以外の性感染症には、何度もくり返しかかるものも多いですし、治療に長期間かかるもの、重い症状が出るものもあります。また、性感染症に感染していると、HIVに感染しやすくなることがわかっています。HIVとその他の性感染症に同時に感染していることも少なくありません。

性感染症の検査も定期的に受けることが必要です。男性どうしでセックスをする人は、梅毒、クラミジア、淋病などの検査を1年に1回以上、複数のセックス相手がいる人は3か月に1回、あるいは6か月に1回は受けることを習慣づけましょう。ウイルス性肝炎(A型、B型、C型)にも注意が必要です。性感染症の検査は、病院・クリニックの他、保健所・検査所の一部でも実施しています(保健所・検査所ではHIV検査と一緒に受けることが条件の場合が多いです)。

また、HIVと感染のしかたが異なる性感染症があるため、コンドームやPrEPで予防できないものがあることを注意しましょう。

性感染症について詳しくは「お役立ちナビ(性感染症 STD・STI)

PrEPは、
正しい服薬と
定期的な血液検査が
必要です。

PrEP(Pre-exposure prophyraxis 曝露前予防内服)は、HIVに感染していない人が前もって抗HIV薬を服用することで、セックスでのHIV感染を予防する方法です。

PrEPは正しく服薬すればHIV感染を予防する効果があります。しかし、PrEPの服薬方法はHIVの治療としては不十分ですので、HIV感染している人がPrEPを続けていると薬剤耐性できる可能性があります。そのため、PrEP開始前と開始後に継続してHIV感染の有無を検査で確認することが不可欠です。PrEP開始後には3ヶ月に1回の検査・診察が必要です。

PrEPはHIVに限った予防方法のため、他の性感染症を予防することはできません。そのため、性感染症の検査を定期的に受けることが重要です。また、PrEPの服薬による副作用で腎機能が低下する可能性や、B型肝炎に感染している場合の注意の必要性から、腎機能や肝炎の検査も必要です。

PrEPに用いられる抗HIV薬は、日本での「予防のための使用」という適応外使用の承認に向けて手続きが進められています。

詳しくは HIVmap POST [HIVの新常識  HIVの感染を防げるPrEPってなに]
詳しくは「お役立ちナビ U=U、PrEP、PEP

一人で
考え込まないで!
相談できる機関が
あることを知ろう。

HIVに関連した不安・疑問・心配事があるとき、身近な信頼できる人に相談をしたり、専門の相談機関を利用したりすることが助けになるでしょう。

HIVに感染したかもしれないと思ったとき、セーファーセックスについて知りたいとき、HIV検査を受けてみようか迷っているときなどに、電話相談を利用してみましょう。匿名で全国どこからでも相談できます。相談員と話しながら、情報を整理したり、気持ちを落ち着かせたりして、自分なりの次のステップを見つけることができるかもしれません。

HIV陽性とわかったときには、匿名で利用できる電話相談の他、個人面談やピアサポートを利用することもできます。また、医療機関にはさまざまな専門家(医師・看護師・ソーシャルワーカー・カウンセラーなど)がいてサポートを受けることができます。すべてを一人で抱え込まずに、相談員やさまざまな専門家と話しながら、ひとつひとつ整理していくことをおすすめします。

HIVに関する電話相談は[HIVお役立ちナビ(電話相談)]、HIV陽性者のピアサポートは[HIVお役立ちナビ(ピアサポート)]をご覧下さい。

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illustration そーちゃん