HIVマップ - すぐに役立つHIV(エイズ)の情報サイト

HIVmap POST

Chottoshita Otegami ya Chirashi

FACT ファクト
  1. HIVマップポスト
  2. ファクト
  3. ヤバ!生でやっちゃった・中出しされた HIV感染リスクが高いセックスの事後対策まとめ

ヤバ!生でやっちゃった・中出しされた HIV感染リスクが高いセックスの事後対策まとめ

August 1, 2024 Modified: 2024.08.01

いつもはコンドームやPrEPなどでHIV感染予防をこころがけている人でも、HIV感染リスクの高いセックスをしてしまうことがあります。相手がナマを求めてきたのでついとか、PrEPを飲み忘れてていたとか、コンドームがはずれていたとか、お酒のいきおいでとか……。

いざというときには、パニックになってしまったり、情報収集するのに時間がかかってしまうことがよくあります。ですので、あらかじめどのようなことをすべきなのかを知り、準備をしておきましょう。ぜひ落ち着いた状態で読んでおいていただきたいと思います。

リスクの高いセックスの直後にできること

例えばアナルにナマで中出しされたとします。PrEPをしていない状態でアナルにナマで中出しされるのは、HIVにもっとも感染しやすい行為です。まずは、すぐにできる感染リスクをさげる方法を試してみましょう。

一般的には、体内に入るHIVの量が多いと感染の可能性は高く、少ないと可能性は低くなります。ですので、すぐにできることとして、HIVを含む可能性のある体液が粘膜や傷に触れている時間をできるだけ短くしましょう。やさしくふき取ったり、水で洗い流したりなどです。ただし、シャワ浣などで腸の洗浄をするとかえって粘膜を傷つける可能性がありますので、便をするような姿勢でしゃがんで自然に出すだけにしましょう。これらの処置で必ず感染が防げるわけではありませんが、できることを試みましょう。

相手がHIVに感染していてウイルス量が高い場合は感染が起きやすいです。一方、相手がHIV陰性であったり、陽性でも治療をしてウイルス量が検出限界未満の状態を続けている場合(U=U)は、体内に入るHIVがゼロか極端に少ないため感染しません。しかし、相手の状態が確認できない場合もあるでしょうし、HIV検査をしていなくて本人は気づいていないけれどHIV陽性という場合もあります。ですので、相手がHIV陽性でウイルス量が高いと想定して行動したほうがよいでしょう。

72時間以内にPEPを始めるかどうか

HIVの感染予防のための緊急投薬PEP(曝露予防内服)という方法があります。感染の可能性があった行為から72時間以内に決められた抗HIV薬を飲み始め、4週間続けることで感染リスクを減らすことができます。HIVの治療を行う場合と同様の3つの成分の薬を飲むので、PrEP(曝露予防内服)とは異なります。混同しないように注意しましょう。

国内でPEPを提供している医療機関は限られています。ウイルスが体内に入ってきた後(曝露後)、感染が成立する前にできるだけ早く第1回目の内服をする必要がありますので、事前にPEPを提供している医療機関の情報を把握しておきましょう。

  1. 場所(自分がすぐに行ける距離かどうか)
  2. 診療時間(土日や夜間にも対応しているか)
  3. オンラインで診療と処方をしているか
  4. 費用はどれくらいか

医療従事者のHIV陽性者からの針刺し事故については、日本では2010年から労災保険が適用されていますが、セックスの場合はPEPが全額自己負担となります。そのため、費用は非常に高いのが現状で、ジェネリック薬で7万~8万円くらい、先発品で30万円くらいかかります。

エイズ治療・研究開発センター
抗HIV薬の曝露後予防内服[PEP]
エイズ治療・研究開発センター
https://www.acc.ncgm.go.jp/general/…
ゲイ・バイセクシュアルにやさしいあんしんHIV・性感染症検査クリニック(東京都内)
ゲイ・バイセクシュアルにやさしいあんしんHIV・性感染症検査クリニック(東京都内)
※備考欄に[PEPの処方]と書かれているクリニックのHPをご確認ください。

リスクはどのくらいだったのかを考える

自分の性行為はどれくらいのリスクがあったのでしょうか?
HIVに感染する確率は、性行為の種類やその他いくつもの要因によって異なることがわかっています。

性行為別では、アナルセックスのウケがもっとも感染率が高く、次いでアナルセックスのタチ、膣性交の挿入される側、膣性交の挿入する側となっています。肛門や直腸は粘膜が薄く傷つきやすく、感染を起こしやすい部位といえます。そのため、アナルセックスでの確率が高いのです。さらに、射精がある(中出し)場合には、射精がない場合よりもウイルスを含む体液に多くさらされることになるため、ウケ側/挿入される側のリスクはより高くなると考えられます。一方、口や喉の粘膜は比較的厚くHIVの感染は相対的に起きにくいと考えられます。

感染する可能性に関わる主な要因を、チェック表にまとめました。ご自身のセックスを振り返る際の参考にしてみてください。

感染リスク・チェック表

どのようなセックスをしたか(アナルセックス、膣性交、フェラチオなど)

予防をしていたかどうか(コンドーム、PrEPなど)

体内に侵入したウイルスを含む体液の量はどれくらいか(射精・中出し、出血があったか)

HIVに感染している人のウイルス量はどれくらいか

他の性感染症にかかっているかどうか(梅毒、クラミジア、淋病など)

他の性感染症との関係についても重要です。例えば梅毒にかかって性器に潰瘍(かいよう)ができていたり、クラミジア・淋病や性器ヘルペスなどに感染していると粘膜に炎症が起きたりするため、粘膜を通して感染が起きやすい状態になります。特に、最近では直腸内のクラミジア・淋病の感染がある日本のMSM(男性とセックスをする男性)の研究報告が増えています。これらの感染がある場合には、HIVに感染する可能性が高いこともわかっています。

HIVに感染したかどうかは、ある程度の期間が経ってから検査をしなければわかりません。しかし、リスクが高い行為の直後にどのような行動をとるかを考える上で、どのような性行為があったのか、その他のどのような要因が自分にあてはまっているかを考えてみるとよいでしょう。

HIVマップポスト
射精ありなし、ゴムorナマでどれくらい変わる?―HIV感染の確率と、それを下げる方法
HIVマップポスト
https://hiv-map.net/post/probabilit…

初期症状を見逃さないようにしよう

もしもHIVに感染していた場合、リスクのある性行為から2~6週間を過ぎたころに風邪のような症状がでることがありますので、見逃さないように注意しましょう。発熱、のどの痛み、頭痛、リンパ節がはれる、皮膚にあわい発疹(ほっしん)ができるなど、風邪やインフルエンザに類似した症状が半数以上の人に現れます。これらは初期症状と呼ばれるもので、その後、症状は自然になくなってしまいます。

初期症状の現れ方は人それぞれで、まったく症状が出ない人もなかにはいます。そのため、症状だけでHIVに感染しているかどうかを判断することはできませんが、感染の可能性を考えるきっかけにするとよいでしょう。本当にHIVに感染しているかどうかを知るためには、HIV検査を受ける必要があります。ただし、検査で正しい結果を得るためには、感染の可能性のあるセックスから検査を受けるまでの期間に注意する必要があります。

HIVマップポスト
見逃したくないHIVの「初期症状」
HIVマップポスト
https://hiv-map.net/post/early_symp…

HIV検査はいつ受ければいい?

HIV感染の可能性があるセックスがあってからすぐに検査を受けても、感染したかどうかわからないことがあります。従来は3か月待ってから検査を受けることが推奨されていました。しかし、検査技術が進歩しているため、現在ではもっと早い時期にまず1回は検査を受けることをおすすめします。

近年は、第4世代HIV検査という抗原抗体検査が多くの検査機関で導入されています。この検査は、血液中のHIV(抗原)と、それと戦おうとする抗体を調べるもので、それらが検査で検出可能な量に増えるまでの期間をウィンドウ・ピリオドと呼びます。第4世代HIV検査のウィンドウ・ピリオドはおおよそ1ヶ月です。また、迅速検査などスクリーニング検査の精度も高くなっているため、感染しているのに検査結果が陰性(偽陰性)となる可能性が以前よりも低くなっています。

そのため、早い時期に検査をする価値があります。ウィンドウ・ピリオド中に検査をして結果が「陽性」であった場合、HIVに感染していると言えます。しかし、検査結果が「陰性」であった場合には、必ずしもHIVに感染していないとはいいきれません。その場合、感染の機会から3か月経過してから、もう一度検査を受けましょう。

気をつけておきたいのは、検査の種類によってウィンドウ・ピリオドが異なることです。HIV検査を行っている保健所・検査所、病院・クリニック、郵送検査などによって、検査の種類が異なりますので、事前に検査機関に確認するといいでしょう。

また、感染して間もないこの時期はウイルス量が高い時期ですので、セックスでHIV感染が起きやすい状態と言えます。セックスには注意が必要です。

なるほど検査Q&A|検査まるわかり情報局|あんしんHIV検査サーチ
「感染したかも」という時点から3ヶ月たっていないと、検査を受けられないのですか?
なるほど検査Q&A|検査まるわかり情報局|あんしんHIV検査サーチ
https://hiv-map.net/anshin/knowledg…
なるほど検査Q&A|HIV検査用語集|あんしんHIV検査サーチ
「ウィンドウ・ピリオド(ウインドウ期)
なるほど検査Q&A|HIV検査用語集|あんしんHIV検査サーチ
https://hiv-map.net/anshin/knowledg…

もしもHIVに感染していた場合には、なるべく早めにHIV診療をしている専門の医療機関を受診しましょう。適切な治療を受けることで、感染する前と同様の生活を続けることができますし、ウイルス量を検出限界未満におさえ続けるとセックスでHIV感染が起きない状態にすることができます(U=U)。

HIVマップポスト
HIVが感染しなくなる!U=Uってなに?
HIVマップポスト
https://hiv-map.net/post/u-equals-u/

不安な気持ちをどうすればいい?

パニックになっているときに問題をすべて一人で解決する必要はありません。電話相談などを利用しながら、適切な時期にHIV検査を受けてみましょう。

HIVに関連した不安・疑問・心配事があるとき、身近な信頼できる人に相談をしたり、専門の相談機関を利用したりすることが助けになるでしょう。

HIVに感染したかもしれないと思ったとき、セーファーセックスについて知りたいとき、HIV検査を受けてみようか迷っているときなどに、電話相談を利用してみましょう。匿名で全国どこからでも相談できます。相談員と話しながら、情報を整理したり、気持ちを落ち着かせたりして、自分なりの次のステップを見つけることができるかもしれません。

また、HIV陽性とわかったときには、匿名で利用できる電話相談の他、個人面談やピアサポートを利用することもできます。また、医療機関にはさまざまな専門家(医師・看護師・ソーシャルワーカー・カウンセラーなど)がいてサポートを受けることができます。すべてを一人で抱え込まずに、相談員やさまざまな専門家と話しながら、ひとつひとつ整理していくことをおすすめします。

HIVお役立ちナビ|HIVマップ
電話相談
HIVお役立ちナビ|HIVマップ
https://hiv-map.net/navi/hotline/
HIVお役立ちナビ|HIVマップ
ピアサポート
HIVお役立ちナビ|HIVマップ
https://hiv-map.net/navi/peer-suppo…

テキスト・文責:HIVマップ制作チーム

HIVmap POSTの一覧へ