日本に滞在中のみなさんへ!
ゲイ・バイセクシュアルのセックスライフで重要な、HIV/AIDSの情報を日本語でまとめました。
HIVの総合情報サイト「HIVマップ」が提供しています。
HIVは、AIDSという病気を起こすウイルスの名前です。このウイルスに感染している人の精液や血液などの体液が、粘膜や傷などから別の人の体内に入ることで感染をします。コンドームなしのセックスや同じ注射器を消毒せずに別の人が使用することなどで感染することが多く、食器の共用や同じトイレの使用などの日常生活で感染することありません。
AIDSはHIVの感染によって引き起こされる病状の名称です。HIVに感染してから、治療をせずに数年以上時間が経過した場合には免疫力が徐々に低くなっていき、様々な病気にかかりやすい状態になっていきます。こうして通常の免疫力ではかからないようなさまざまな感染症の症状が出てきた状態をAIDS(後天性免疫不全症候群)と呼びます。このように免疫力が低下しているのに治療をしないまま放置すると死亡する危険が極めて高くなります。
日本では、2007年頃より新しく自分のHIV感染を知る人が毎年1,500人くらいとなっています。感染の原因の多くが男性同士でのセックスであると報告されています。日本にいる外国人でも男性同士でのセックスで感染する人が急増しています。また、HIVは検査をしないと感染したかどうかわからないので、HIVに感染していても本人が気づいていないことも少なくありません。ですから実際に感染している人はさらに多いと考えらます。
HIVに感染することを予防するためにはコンドームを使うことを勧めます。コンドームなしのアナルセックスをする場合、ウケはもちろんタチにも感染するリスクがあります。フェラチオの場合にも、性器に口をつける側の人が感染するリスクがあります。安全性を高めるためには、コンドームを使うほうが望ましいです。また、梅毒やヘルペス、クラミジアなど他の性感染症にかかっているとHIVが感染しやすくなります。定期的に性感染症の検査も受けましょう。また、性感染症の症状がある時には医療機関を受診するようにしましょう。
HIVに感染すると、2~4週間ほど後にインフルエンザに似た症状がでることがあります。しかし、まったく症状が出ない人もいます。そのため、症状だけでHIVに感染しているかどうかはわかりません。HIVに感染しているかどうかを知るためには、血液検査を受けることが必要です。ただし、感染の可能性のあるセックスがあっても、その直後の検査では正しい結果が出ません。感染の機会から2~3か月後にあらためて結果を確認すると良いでしょう。なお、男性同士でセックスをする人は、定期的にHIV検査を受けるようにすることが推奨されています。
保健所で、無料・匿名でHIV検査を受けることができます。名前、住所、電話番号などを伝えずに検査を受けることができ、プライバシーは厳重に保護されます。ただし、外国語で対応している保健所は少ないので、さまざまな言語による電話相談や通訳派遣などを行っているNPOに相談しておくとよいでしょう。そのほか、病院・クリニックなどでの検査(自費)もあります。
HIV陽性と確定診断がついた場合、HIV感染症のケアや治療ができる病院・クリニックを紹介してもらうことができます。日本には、HIV陽性を理由に国外退去を求めるような法律はありません。医療機関は、国籍や滞在資格を問わず受診することができます。しかし、外国語で適切なアドバイスができる医療機関は限られていますので、保健所やNPOで受診先について相談しましょう。病院・クリニックでは、免疫の状態などさらにくわしい検査をした上で、治療のやり方について相談に乗ってくれます。就労や勉強などのために3か月を越える(3か月は含みません)滞在資格があるほとんどの場合は健康保険の加入対象となります。ただし、例外がありますので、職場や学校などで問い合わせてください。また、HIVの治療のためには、医療費助成を受けて自己負担を少なくする制度もありますので、NPOや病院のソーシャルワーカーに相談をしてみましょう。
完治する薬はまだありませんが、HIVが体内で増えるのを抑える薬(抗HIV薬)が開発されています。抗HIV薬を飲み続けることで、HIVに感染する前と同じような日常生活を送ることができます。そのためには、HIVに感染していることをなるべく早めに知り、定期的に通院をすることが必要です。一旦治療を始めたら、毎日薬を飲むことが重要です。また、AIDSになった場合も、適切な治療によってほとんどの場合体調の回復が望めます。