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HIV/エイズガイド

社会福祉を専攻する大学3年生のブリ君がいろいろな人と出会って、
聞いた、HIV/エイズをめぐる7つの話。

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第3話検査、受ける前・受ける時・受けた後

シラベさん
シラベさん

HIVを始めとしたSTD(性感染症)の検査や相談を行っているアヤメ検査室の保健師。ブリ君が以前、レポートを書くために取材に行ったことがある。

ブリ君
ブリ君

大学3年生、ゲイ、21歳。先行は社会福祉だが、勉強はあまり好きではない。クラブは水球部。ガチムチ気味。

HIV検査のしくみや種類、活用の仕方

シラベさん

ブリ君、どうしたのかな、浮かない顔をして。

ブリ君

あっ、アヤメ検査室のシラベさん!じつはちょっと相談なんですけど、今朝ね、昔のセクフレから電話がかかってきて、HIVに感染していたことがわかったんだって。で、僕とやってたころにはたぶん自分はもう感染していただろうから、君も検査受けたほうがいいんじゃないか、って。それ聞いて、僕もなんか不安になって、アヤメ検査室で資料とかもらえるかなと思って来てみたんです。

シラベさん

そうなんだ。自分の感染を知って知らせてくれるなんて、いい話じゃない。

ブリ君

茶化さないでくださいよー。

シラベさん

そんなつもりはないわ、ゴメンゴメン。でも、彼とやってたころには、君はセーファーにやってたんでしょ?

ブリ君

ええ、いちおう、体液とか粘膜とかには気をつけて。まえにゴーグルマンにいろいろ教えてもらったんで。でも、万一、ってこともあるでしょ?僕だって生でくわえたり、顔射されたこともあるし……。

シラベさん

なに、そのゴーグルマンって。それはともかく、HIVに感染しているかどうかは、検査しないとわからないんだけど、そうだ、このさい検査のことを一通り調べてみようか。

ブリ君

そ、そうですね。ぜひお願いします!

検査ってなにを調べてるの?

ブリ君

HIVは血液検査しないとわからないってよく言うけど、なにを調べてるんですか?

シラベさん

私たち検査所では、2段階のHIV検査を実施しているの。まずはスクリーニング検査といって、いわば「ふるい分け」検査ね。これでなにも出ない場合は、HIVに感染していないの。でも、ここで反応が出た場合は、確認検査というものを行ないます。

ブリ君

え、なにか出るって、どういうこと?

シラベさん

HIVというウイルスは、人間にとっては外からやってくる異物で、これを抗原といいます。抗原が体内に入ると人間はそれに対抗して抗体という戦う物質を作るの。この抗体が血液中にあるかどうかを見ることで、HIVの感染を間接的に調べる「ELISA法(免疫酵素抗体法)」とか「PA法(ゼラチン粒子凝集法)」とかと呼ばれる方法があります。それから、最近は「抗原・抗体検査」といって両方を同時に検査することが多くなっているわ。まずは、こうした検査でふるい分けします。これらのスクリーニング検査はとっても敏感なので、これでなんの反応も出なければ、感染していないと考えていいの。

ブリ君

ふむふむ。

シラベさん

でも、スクリーニング検査で陽性反応が出た場合には、今度は確認検査に進むわけ。確認検査には、ウエスタンブロット法やPCRという検査方法が世界的に使われていて、日本でも通常、この方法で検査しています。これはとても確実で、これで陽性反応が出た場合には、まちがいなく抗体がある、つまり感染していると言えるわけ。ただ、この確認検査にはちょっと時間がかかるので、結果は1週間後にお知らせします、っていうわけね。

ブリ君

へえ、だいたい納得。じゃ、さっそく僕も検査してもらおうかな。

シラベさん

そのまえにウインドウピリオドって聞いたことある?

ブリ君

ウインドウピリオド?

シラベさん

検査では抗原や抗体の有無を調べるわけだけど、じつはHIVが体のなかに入って抗原として確認できるくらいになるまでに2~3週間、抗体ができてそれが検査でもハッキリ確認できるようになるまでに2~3か月かかるの。この期間をウインドウピリオドといって、そのあいだは検査結果が不確実になるのね。だから、検査の結果を確実なものにするために、多くの保健所や検査所では、感染が疑われる行為があってから2~3か月以上たってからお受けくださいっておすすめしています。ただし、検査も進化していて、いまは「抗原・抗体検査」をしているところも多くなっているから、もっと早く確実な結果が分かるところもあります。

ブリ君

セクフレと最後にやったのは確か4か月まえだから、いまなら検査を受けてもウインドウピリオドに引っかかりませんね。

シラベさん

ま、そういうことね(苦笑)。

いろいろな検査、どこで受けられる?

ブリ君

検査を受けようと思ったら、どこへ行けばいいんだろ。

シラベさん

検査は全国の保健所や検査室、病院やクリニックなどで受けられるわ。くわしい情報は、専門の検索マップがあるから、それで行ける場所や曜日、時間帯を調べてみてね。

保健所などは無料・匿名で検査ができます。でも、平日のわずかな時間しかやっていなくて受けづらいかもね。あと事前予約も必要かしら。土日や夜間にやっている保健所もあるけれど、とても限られているので、早めに予約が必要ね。

もし、すぐにでも受けたい場合は、病院やクリニックなどで受けることになるけれど、特に症状がなければ健康保険が使えないから自費で3千~1万5千円くらいかかるの。症状があったり性感染症にかかってる場合には健康保険が使えるわ。カルテを作る関係上、名前を聞かれることが多いわね(仮名でも可能な医院もあります)。

ブリ君

でも、検査を受けても、結果を聞きにいくのにまた1週間後に出直すんでしょ?その場ですぐわかる方法はないのかなぁ。

シラベさん

即日検査(抗体迅速検査、イムノクロマト法:採血後30分から1時間程度で結果を聞くことができる)を行なっている保健所や病院・クリニックもあるから、そこがどんな検査を提供しているかも調べてみてね。ただし、この迅速検査もスクリーニング検査のひとつで、抗体なし(陰性)の反応が出れば感染していないことは確実で、その結果をその場で聞けるというのはメリットだけど、感染していないのに陽性反応が出てしまうことが1000人に2~5人くらいあるの(偽陽性)。いずれにしても、なにかの反応が出れば確認検査をしなければいけないわけで、便利だけど、ちょっと厄介な面もあるから、それは気をつけてね。

ブリ君

ネットでHIV検査って検索してみると、けっこう「自宅検査キット」の広告が出てくるけど、結果は確かなんですか?

シラベさん

自宅検査キットには2種類あって、どちらもネットの通販やドラッグストアなどで販売されてるわ。

ひとつは「郵送検査キット」といって、少量の血液をろ紙にしみこませたり、容器に入れたりして検査会社に送って後日、結果を知らせてくるもの。3千~8千円くらいの価格みたいね。日本国内の検査会社に送って検査してもらうものは、スクリーニング検査としてなら選択肢の一つにその利用を考えていいでしょう。

もうひとつは「自己検査キット」といって、自分で採血をして結果判定まで自分で行なうもの。こちらは、海外で製造された劣悪な検査キットが出回っていることもあるから現段階ではお勧めできないわね。

ブリ君

「郵送検査キット」のほうだったら、誰に会うことなく自宅で検査ができて、専門家が結果を判定してくれるんだからいいね!

シラベさん

便利なのはメリットかもしれないけど、それは同時に欠点でもあるのよ。これもスクリーニング検査の一種だから、なにかしらの反応が出れば結局、保健所や病院などで確認検査をする必要があるのだけど、一人っきりで陽性の結果を受け取ったりしたら、誰だってビックリしたり不安になるわよね。もちろん郵送検査会社でもそのための電話相談を設けていたり、病院の紹介を説明書に載せていたりするようだけど、会社によって陽性とわかった場合のフォローや情報提供の仕方に差もあるみたい。あと、郵送検査会社によって検査の信頼度が大きく異なっているので、検査会社は慎重に選んだほうがいいわね。

保健所とか病院などだと、検査前後に担当者がいろいろ説明をしてくれるし、陽性だったら治療できる病院を紹介してくれたりするわ。それぞれのメリットとデメリットを考えて検査方法を選ぶといいわね。

ブリ君

そうそう、ウインドウピリオドは2~3か月ってことだけど、感染をもっと早く知りたい場合はどうしたらいいの?

シラベさん

HIVの検査方法も進んでいて、抗原・抗体検査という検査をしているところだとウインドウピリオドはもっと短いから、どんな検査方法を採用しているのかを事前に調べたておくといいわね。電話相談などで相談してみるのもいいでしょう。

検査とその結果をどう活用するか

ブリ君

シラベさんにいろいろ教えてもらったのはいいけど、検査って、なんかものものしくって、受けるのどうしようかな、って思ってきちゃいました……。

シラベさん

HIV感染症は、薬でコントロールできるようになって、感染がわかった人の多くが元気に生活しているけど、まだ完治する病気じゃないし、結果を聞くのはやっぱり怖いわね。でも、あくまで自分の健康をチェックすることは大切よ。もし感染しているとしても、できるだけ早くわかるにこしたことないの。医療に早くアクセスして早く対策が立てられるものね。

ブリ君

そうですね。僕もモヤモヤしているんだったら、早く検査を受けてスッキリしたほうがいいかな。

シラベさん

結果を受け取った後も大事よ。まず、陰性だったとしても、今後一生、ブリ君が陰性であることを保障したものではないわよね。ウインドウピリオドの考え方から言うと、いままでは、というか、正確にいえば2~3か月前までは陰性だったということに過ぎないの。できれば今後も長くこの状態を維持できるよう、いちど自分のセックスのやり方をふり返ってチェックしてみてね。
もし陽性だったとしたら、いろいろな相談機関を利用してどう行動すればいいか、考えを整理していきましょう。さっきも言ったように医療は発達してきたから、時間はずいぶんある。むしろ早くわかってラッキーだったと言えるわ。

ブリ君

受けに行った検査で陽性がわかるって、ラッキーなんだ?

シラベさん

じつは保健所などで自主的に検査を受けて結果が陽性だったという人は、毎年新しく陽性がわかった人の4割ぐらいなの。あとはじつは体調が悪くなって担ぎ込まれた病院ですでにエイズを発症していると診断されてわかったとか、なにかの手術のまえの検査で思いもよらずわかったとか、そういう人が多いのよ。
あと、感染してから間もない時期に、風邪のような症状が出る人もいるの。その時に病院に行って「HIVの検査をしてください」って自分から言いだすのは良いアイディアよ。HIVは検査しないとわからないから、何も言わないと風邪ってことでスルーしてしまうことが多いのよ。

ブリ君

自分から検査をお願いするっているのもありなんだね!

シラベさん

検査に関心をもつ人は、ふだんから自分の体やセックスライフに関心を払っている人だと言えるかもしれないわね。特に、ゲイやバイセクシュアルのひとは、1年に1回は定期的な検査を受けることを習慣づけておくといいわ。セッ クスをする相手が多かったり、性感染症にかかったことがあったり、コンドームを使わないことがあるひとは、半年に1回とか3か月に1回の検査をおすすめします。

ブリ君

僕も今回受けてみて、もし陰性だったら、これからは毎年誕生日に定期的に検査を受けるようにしようかな。

シラベさん

それもいいかもね。じゃ、Have a nice sex life!

第3話のまとめ

検査を受けるときに気をつけること

ウインドウピリオドについて理解する(感染のおそれのある行為から2~3ヶ月、検査の種類によってはそれより短い場合もある)

検査を受けられるところ

  • 保健所、検査所(無料・匿名。時間や検査方法はいろいろ)病院、クリニック(自費)
  • 「郵送検査キット」と「自己検査キット」の違いを知る

検査の生かし方

  • 陰性であっても陽性であっても、自分の健康状態を自分で把握しておくことは大切です。
  • ゲイ・バイセクシュアル男性は定期的な検査を習慣づけるといい。