見かけたら手にとってみてね!ヤローページ「上野・浅草版」 制作担当者インタビュー
May 15, 2024 Modified: 2024.09.24
街で見かけるゲイタウン情報+HIVや他の性感染症情報のフリーペーパー「ヤローページ」今回は昨年末に配布開始されたヤローページ「上野・浅草版」について、担当のaktaスタッフKDさんにお話をうかがいました。
ヤローページ 上野浅草:23/12/1配布開始。上野・浅草のゲイ・バイセクシャル向け商業施設(バー・ハッテン場など)50以上の施設で配布中!
――まず、一言でいうとヤローページってなんですか?
ゲイタウン情報のマップといっしょに、HIVや他の性感染症の情報が掲載された、フリーペーパーです。
――どんなときに使えるものですか?
今回は上野浅草地域が対象ですが、その地域のゲイバーやハッテン場、あとはゲイショップに行ってみたいと思ったときにお店を一覧で探すことができます。
というのがひとつ。でもそれだけじゃなくて、性感染症のことが気になったときにどこを見ればいいか、も同時に分かるようになっています。
――なるほど。「ヤローページ」は新宿版や上野・浅草版を不定期に発行してると思うんですが、今回はどういう経緯で?
そうですねー。これ結構込み入った話になるんですけど、そもそも自分はaktaでアウトリーチの担当をしているんですが、2021年の末頃から上野浅草地域のゲイバーやハッテン場を訪問するようになりました。
最初の頃はaktaで作った資材や性感染症の情報などを持っていったりして、お店のポストに投函させていただいていました。当時はちょうどコロナ禍の時期で、感染の心配などでお店の開店時間も制限されていると思ったので、店内にお邪魔する形ではなく、お店の前まで行って看板を見てポストに投函していました。
2丁目もお店がオープンしていないところが多かったんですが、上野浅草のお店についても一時的に閉まっているのかそれとも閉店してしまったのかがかわからないので、まずは開店状況を確認できればと思ってたんです。
と、いうのも、当時はコロナの影響で上野浅草のゲイバーのお店に入れ替わりもあるように見えていて。例えば自分の知り合いがお店を閉めたみたいなことがあったり、毎月資材の郵送をしていたんですが、それが戻ってきたり、というようなことも増えてしまって。
なのでまずは、aktaとしてせめてお店の営業状況を確認できればと思って訪問を始めました。
――なるほどコロナ禍ではそのあたりも大変でしたよね。
そこからしばらくして、コロナも落ち着き始めて。お店に伺っても迷惑じゃなさそうになってきたので、実際に対面で資材を渡しつつ、コンドームもおいてもらう、新宿二丁目でやってるのと同じことを始めるようになりました。実際に訪問するようになってからは、新しいお店ともつながりを持てるようになってきました。
お店に定期的に訪問していれば顔も覚えていただけるようになってきて、その時期ちょうど2022年の新宿のヤローページができて配布していたところ、お店の人達に自分たちの地域のやつも欲しいとお声掛けいただくことが増えて。
つながりが持てるようになった結果、声をかけてもらったことがきっかけの一つです。
――なるほど。aktaとしても新宿地域だけじゃなくて東京の他の地域とのつながりを大事にしてきたことが、今回の上野・浅草版ヤローページにつながったんですね。
あと、もう一個あるのは、これはお店の人に言われたんですけど。以前発行した8年前のヤローページ上野・浅草版を覚えてくれてる人がいて、その人に言われたことが、コロナ以降お店同士のつながりが減ってきちゃったと。良くも悪くもあんまり関係のない店に挨拶しに行くことがなくなった。そうなってくると、お店同士のつながりが希薄になってしまって、同じ地域でやってるのに全然わからないってことが増えてきた。
そういう気持ちを持っていた方からすると、このヤローページという媒体が、その地域のコミュニティのつながりを作るものになっているって話も頂いて、それも今回リニューアルしたきっかけになったと思います。
――お店の側でも横のつながりがどうしても薄くなっちゃった、だから地域の情報マップが役に立つっていうのはコロナ明け特有の状況だったかもしれないですね。話変わりまして、今回の上野浅草版の特におすすめポイントってありますか?
1つ目は字が大きい。特に年配の方々にも見てもらいやすいように。暗いお店とかで字がちっちゃくて読めないという話をいただくことが多いので、そういう方にもちゃんと読みやすいように、字を大きくしてあります(笑)
次に、お店の情報の割合を多めにしてます。お店の中でお店の人達が手に取ったり、お客さんとの会話で使ってもらうことを狙ってそうしてみました。
あと最後は、今までのヤローページになかったことで、お店の人に一言コメントをもらうようにしました。
以前のヤローページで、「外国語対応状況」の項目があるんですが、多くのお店は、英語など具体的に対応可能な言語を書いてくださるんですが、あるお店だけ「ノリで☆☆☆」って記載になっていて(笑)具体的な情報じゃないんですが逆に、そのお店の雰囲気とか楽しそうなところが一番伝わってきて、よかったと思ったんです。それをもっと他のお店でも文字で個性が出しやすい方法があるといいなーと思ってコメントを入れてもらってます。
あとはHIVの情報に限らず、梅毒の情報なんかも紹介されているので、それもぜひ見てみてください。梅毒の詳細は今後このポストにも詳細が紹介されるって聞いてます。
――実際に配ってみて、どんな反応が得られていますか?
いろんな方面からあるんですが、そもそも配ったお店からは、久しぶりだったので「作ってくれてありがとう」みたいな反応をいただけました。
aktaからお届けしたその日その場で配ってなくなっちゃいましたって、ぐらい好評をいただいたこともあったり、意図的に地方から来た人に渡すようにしてますって言うお店もありました。観光の人にとってはお店の一覧情報があるとよりわかりやすいのは納得だなと。制作側としてもそういう使い方は嬉しいなと思ってます。
出来上がったものを見て、もうちょっとこういうふうに情報を書いてほしかったみたいなのも頂いてます。
他の人達の掲載情報を見てやっぱり写真乗せたかった、とか、一言コメントも書き直したい!っていう話を頂いてます。「ウチはカラオケがうまいお客が多くて聖子明菜が歌われてます!」とかにしたい!って。(笑)
――配布したお店で好評だったり、掲載内容を変えたいっていうぐらい見てもらえてるっていうのはつくり手としてもハッピーですね。
配布した、上野浅草での反応はそんな感じなんですが、
ネット上でもいろいろ反応を探ってたんですが、ネットだと早い段階で表紙のイラストを書いてくれた鑑雷斗さんが、たくさんSNSで拡散してくれたおかげで、イラストに対しての好意的な反応をたくさんいただきました。
実際にaktaに「欲しい!」ってお問い合わせいただき、送料負担するから送付して欲しいという方もいらっしゃいました。
あとは、新宿二丁目でも配っていて、一つは上野浅草の地域でもこういうのがあるんだっていう素朴な反応から、新宿版の最新版は次はいつ?というような反応まで。
びっくりしたのはお店の若いスタッフさんに渡したときに、あんまり若い人をターゲットにしていない作りなんで反応ないかと思ったんですが、若い子が表紙をよく見て、中身もじっくり詳細に見てもらえるシーンがあって。
僕らは上野浅草といえば年齢高めの方っていうイメージが多いけど、実は色んな世代の人たちが色んな地域を行き来してるのかなーと思うヒントにもなりました。
――最後の方に聞くことじゃないかもですが、このヤローページ上野・浅草版はどこで入手できますか?
新宿二丁目にあるcommunity center akta あとは掲載店舗を含む上野浅草地域のゲイバー・ハッテン場・ショップなど50以上の施設、新宿二丁目のゲイバーやショップなどでも入手可能です!
都内にアクセス良くない方でも全国のコミュニティセンターで手に入ると思うので確認してみてください。
※配布終了間近につき入手ご希望の方はお急ぎください!
――後なにか言い残した事があれば。
この場で御礼を言わせてもらってもいいですか?
デザイナーの村上さん、イラストレーターの鑑雷斗さん、情報収集のときもいつも一緒やってくれてふうちゃん、あと臨時的に関わってくれたスタッフの人達、手にとってコメントもいただけた読者の皆さんそして、お忙しい中でも掲載情報の収集にご協力いただいた各お店の皆様、ありがとうございました。
おかげさまですごくいいものができました!
――今日はありがとうございました!
編注:
今後デザインやりたいとか、編集やってみたいって人で、こういうの作ってみたい人にはおすすめなのでぜひaktaにコンタクトしてみてください!