HIVマップ - すぐに役立つHIV(エイズ)の情報サイト

HIVmap POST

Chottoshita Otegami ya Chirashi

NEWS 最新ニュース
  1. HIVマップポスト
  2. 最新ニュース
  3. エムポックスは終わってない!今知っておくべき最新情報と3つの対策

エムポックスは終わってない!今知っておくべき最新情報と3つの対策

October 1, 2025 Modified: 2025.10.01

「最近、エムポックスのニュースをあまり聞かないよね?」
「エムポックスの流行ってもう終わったのでは?」

そう思っている方もいるかもしれません。
しかし、エムポックス(Mpox)はまだ終わっていません。

特に、日本ではこれまでとは異なるタイプの感染事例も確認されていて、あらためて正しい知識を持つことが重要になっています。

この記事では、エムポックスの最新情報を整理し、むやみに怖がらず、適切に備えるためのポイントを解説します。

エムポックスの感染経路とは?

エムポックスは、主に肌や粘膜が直接触れ合う「濃厚接触」によって感染します。

主な感染場面:セックスなどの性的接触、同居家族との接触(家庭内感染)など。

感染の広がり方は「クレード1」「クレード2」のいずれの場合でも同じです。これまでのところ、空気を介しての感染や、握手・会話といった日常的な接触による感染は確認されていません。そのため、日常生活の中で過剰に心配する必要はありません。

2つのタイプ「クレード1」と「クレード2」の違い

エムポックスには、主に2つのタイプ(クレード)があります。

クレード1

  • 元々は中央アフリカで報告されていたタイプです。
  • 2024年以降、広がりを見せており、性別に関係なく感染が拡大しているのが特徴です。

クレード2

  • 元々は西アフリカで報告され、2022年以降に世界的に流行しました。
  • 主にMSM(男性とセックスをする男性)のコミュニティで拡大が注目されてきました。

【重要】致死率に大きな差はない!最新の評価

以前は「クレード1は致死率が高い(11%という報告もあった)」と言われていました。しかし、最新のデータではその評価が大きく変わっています。

最新の致死率:クレード2が約0.3%、クレード1も1%以下と報告されています。
治療の効果:点滴や鎮痛薬など、適切な治療によって致死率を下げられることがわかってきました。

医療体制が十分に整っていない地域からの報告でも、致死率は1%前後であり、現在ではどちらのタイプも致死率に大きな差はないと評価されています。

重症化の本当の鍵は「免疫状態」

何が重症化のリスクを決めるのでしょうか?

それはウイルスのタイプよりも、一人ひとりの「免疫状態」が大きな鍵を握っています。

特に、HIVに感染していて未治療で免疫力が低下していると、エムポックスが重症化し、時には命に関わる危険性があるのです。HIV検査を受けずに自分がHIVに感染していることを知らないままでいると、意図せずエムポックスが重症化してしまう場合があるため注意が必要です。

今すぐできる!自分と周りを守るための3つの対策

エムポックスに対して、私たちが今できる具体的な対策は以下の3つです。

1. 自分のHIVステータスを知る

定期的にHIV検査を受けることは、あなた自身の健康を守るだけでなく、エムポックスの重症化予防にも繋がります。自分の体の状態を正しく知ることが第一歩です。

2. 濃厚接触への注意と早期受診

感染経路は濃厚接触が中心です。皮膚や粘膜の接触が多い場面では注意が必要です。もし皮膚に発疹などの症状がある場合は、他者との接触を避け、早めに病院を受診しましょう

3. 心配なら早めに相談・検査を

治療法はウイルスのタイプに関わらず同じです。どちらのタイプかを過度に心配するよりも、感染の可能性がある場合は、ためらわずに専門機関に相談し、検査を受けることが大切です

エムポックスについて、むやみに怖がるのではなく、新しく正しい知識で備えることが、あなた自身と周りの大切な人を守る一番の力になります。正しい情報を元に、冷静に行動していきましょう。

参考資料

協力:感染症コミュニケーション円卓会議

感染症コミュニケーション円卓会議は、主にHIV領域で活動する民間団体と、研究・医療機関、行政が、感染症の情報発信などについて、対等な立場で協働する任意の団体です。

参加団体・機関:akta、ぷれいす東京、MASH大阪、国立健康危機管理研究機構(国立感染症研究所、国立国際医療センター)、厚生労働省、東京都

この記事は、厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「エムポックスの流行拡大に備えた診療・感染管理指針の作成と普及啓発についての研究」の一環で作成されました。

テキスト・文責:HIVマップ制作チーム

HIVmap POSTの一覧へ