【オトナの工場見学】開発はブレンドコーヒーに近い!? 「ペペローション」製造会社に聞く、ローションができるまで(1/3)
December 25, 2024 Modified: 2024.12.25
子どものみならず、大人も夢中にさせる「工場見学」。普段目にすることができない“ものづくり”の現場に触れることで、好奇心と知識欲が刺激されると近年人気を集めています。
今回は、「オトナの工場見学」と題して、性に関連する企業の工場に注目。大人気商品「ペペローション」を販売する中島化学産業株式会社に赴き、工場見学をおこないました。
レポートは、ライター兼下ネタラジオ配信者である小田九千が担当。教育的なレポートにはマスコットキャラクターがつきものということで、基本全身が濡れていないと落ち着かない「ローション博士」も同行し、奥深いローションの世界を学んでいきます(全3回)。
ローション博士
窓がない狭い空間に身を置き、上からローションを注いでもらうことが何よりの喜びの一般人じゃ
ペペローションの会社内でローションを作ってみた
セックスの挿入をスムーズにさせ、オナニーの気持ちよさをアップさせるローション。ヌルヌルした質感の液体の正体を探るべく、小田は名古屋にある中島化学産業株式会社にやってきました。
化学品の商社である中島化学産業の創業は明治25年。特品部では「エンターテイメントを化学する」をモットーに、ニッチ商品、化粧品・機能製品を企画、製造販売。看板商品である「ペペローション」の年間販売数は550万本にのぼります。
早速製造工場に向かう……前に! 第1回は、社内にある研究室で「ローションの基礎知識」を伺います。説明してくださったのは、特品部で専務取締役でありマスターブレンダーを務める田中さん。ローション製品開発の中心に立つ、スーパーすごい人です。
ローション博士
何事も、本番前の前戯(準備と言いたい)は大切じゃ
まずは、ローションが何から作られているか聞きました。代表的なペペローションを構成する成分は主に「水」と「ポリアクリル酸ナトリウム」と呼ばれる化学合成品の2つ。水にポリアクリル酸ナトリウムを混ぜることで、あの特徴的なヌルヌルが生まれます。田中さんに、ローションを作ってもらいました。
田中さん:最初は、糸引きがあるタイプのローションを作りましょう。使用するのは直鎖型のポリアクリル酸ナトリウムです。
ローション博士
直鎖とは分子が枝分かれせずに連なっている構造じゃ
小田:ポリアクリル酸ナトリウムは何かに使われている成分なんですか?
田中さん:うどんやそばにコシを持たせる、食品添加物としても使われていますね。あとは、薬の粘度を上げるためにも使用されるなど、安全性に優れた成分です。これがポリアクリル酸ナトリウムの現物です。
小田:シンプルに真っ白い粉だ……。
田中さん:攪拌機(かくはんき)で攪拌された水に計量したポリアクリル酸ナトリウムを入れ、さらに混ぜていきます。
小田:パッと見、コーヒーで使いそうな機械ですね。
全員:………。
ローション博士
攪拌機を大人たちが眺める時間が流れておるぞい。小田、お主が始めた物語なのじゃから、話しかけるのじゃ
小田:新しい商品を作るときは研究室で実験するんですか?
田中さん:ポリアクリル酸ナトリウムといってもいろんなメーカーがいろんな番手のポリアクリル酸ナトリウムを出しているんですよ。それぞれ感触が違うので、お客さんの要望に沿ったものをブレンドして作り上げます。
小田:マジでコーヒーづくりみたいな話!? ポリアクリル酸ナトリウムはコーヒー豆のような位置付けなんですね。
ローション博士
ちなみに田中さんほか、ローション開発に携わる人たちは「ブレンダー」と名乗っているのじゃよ。マジでコーヒーづくりみたいな話じゃのう。
小田:要望って、たとえばどんなものがあるんですか?
田中さん:女性器の場合は自らで潤滑液が出てきますけども、アナルやオナホールはそうではないですよね。なので、オナホールなら「もっと絡みつくようにしてほしい」とか、オナニーなら「糸引きが邪魔にならないものがいい」と言ったお声をいただくわけです。
小田:場所が違うと求められるものが違うんですね。
ローション博士
というわけで、攪拌をストップじゃ。完成品のローションは混ぜる工程を半日おこなうんじゃと。丹精が込められておるのう
小田:触るとまさにペペローションの糸引き! 水とポリアクリル酸ナトリウムだけでローションができちゃった……!
田中さん:実際に製品化するときは保湿剤とか防腐剤といったものも使われます。よく、「ローションは昆布から作ってるんですか」って質問があるんです。うちはローションを50年以上作ってるんですけど、昆布もいろいろ試してはいるんですよ。それでも使わない理由は何だと思います?
小田:(急に問いかけが来た!)わ、からないです……!
田中さん:昆布で作った場合、毎年出来が変わることになりますよね。そうなると「今年のローションは出来がいいよ」とか「俺、2020年もののペペを持ってるぜ」といったことになるわけです。
小田:(ボジョローションヌーボー?)たしかに! 出来にムラができちゃいますね。企画モノとしてはありだけど、製品となると話が違ってくると。
田中さん:そうです。100%化学品合成だから、いつでも同じ品質でご提供できるんですね。不純物がない、ピュアな製品と言えます。
小田:材料によるイレギュラーが起きないから、品質が均一化されると。ローション自体も機械で作られていますしね。
田中さん:うちでも天然物を使った製品はあるんですけどね。植物由来、動物由来、いろんなやつを試したなかで今の製品ができました。
ローション博士
この後ローションの開発秘話でめちゃくちゃ盛り上がったけど、それは次回以降に掘り下げるぞい。楽しみすぎて目からローションが出そうじゃわい。
続けて、水にカルボマー(部分架橋型ポリアクリル酸)を加えたローションを作ってもらいました。
ローション博士
架橋とは、鎖状高分子の分子間に橋を架けたような結合をつくることじゃ。
小田:カルボマーの粉はパウダーっぽいですね。サラサラだ。
田中さん:先ほどのはポリアクリル酸ナトリウムですけども、こちらはポリアクリル酸なんですよ。これがいわゆるカルボマーとよばれているものです。ここに水酸化ナトリウムなどを後入れして中和します(後入れしないタイプもあります)。
小田:(混ぜて)一瞬で変化した! ちょっとずっしりしてる?
田中さん:それはね、触るとわかりますよ。
ローション博士
通販番組みたいでワクワクするのう
小田:さっきより質感が固いです。粘度も全然違いますね。まったく糸を引かない!
田中さん:さっき作ったやつとこれを混ぜて調整することもあります。これだけだと滑りが悪いですよね?
小田:たしかに、ちょっと水っぽいです。
田中さん:当社の「ペペスムージー」はこれに滑り感を付けた商品なんです。ベタつかないからサッと拭き取れるし、女性に人気ですよ。
ローション博士
ペペローションには他にも、快感物質が出るタイプやバイブに向いたタイプといった製品もあるんじゃ。自分に合ったローションを選ぶと性生活はさらに潤うぞい。
小田:ローションによっていろんな楽しみ方があるんですね。
田中さん:さまざまな機能を発揮させることができるのがブレンド技術ですね。
ローション博士によるまとめ
ローション博士
ペペローションを構成する成分は水とポリアクリル酸ナトリウム。ブレンド技術を駆使してさまざまなローションを作ることができるぞい。化学合成品のみで作られているため、不純物はなし。品質も常に一定なのじゃ。ブクブクブク……(ローションに浸かる音)。
普段、何気なく使っているローションが科学技術の結晶だとわかりました。次回は工場での製造プロセスに迫ります。お楽しみに!
NPO法人akta と 中島化学産業株式会社 取引関係に関して
HIV Map POSTを運営する NPO法人akta では、会長を務める第38回日本エイズ学会学術集会・総会において、今回の記事で紹介している中島化学産業株式会社よりバナー広告の出稿をいただいております。
本記事は、上記広告出稿とは別の企画としてスタートし、広告出稿の前に執筆されたものです。しかしながら、記事をご覧いただく際には、上記の取引関係があることをご承知おきください。