エムポックス(サル痘)に感染したかも?と思ったらまずはこちら。症状・受診などのまとめ
April 11, 2023 Modified: 2024.09.24
2023年春時点の情報をもとに【クレードⅡ】について書かれた記事です。ご留意いただきお読みください。
2023年04月19日更新

エムポックス(サル痘)は、欧米を中心に男性同士の性的接触による感染が流行してきましたが、2023年に入ってからは日本国内での感染が急増しています。
性別やセクシュアリティに関わらず誰でも感染する可能性がある感染症ですが、男性同士でセックスをする人は特に注意をする必要があるでしょう。エムポックス(サル痘)から身を守るために、予防方法・症状・治療・検査などについて正しく知りましょう。

こんな症状はエムポックス(サル痘)かも?
エムポックス(サル痘)の症状は人によって様々ですが、もっとも特徴的なのは発疹(ブツブツ)です(発疹の画像1【英語・写真あり】|発疹の画像2【英語・閲覧注意・写真あり】)。サル痘(mpox)の発疹は全身の様々な場所にできますが、性器や肛門の周辺にできることも多く、喉や肛門の内側などの見えにくい場所にできることもあります。発疹の痛みは、感じる人も感じない人もいます。その他、発熱、寒気、リンパ節の腫れ、倦怠感(だるさ)、頭痛、筋肉痛などがあらわれる人もいます。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、通常は1~2週間(6~13日程度)です。思い当たるセックスなどがあってから1~2週間後に熱や発疹(ブツブツ)ができたら、エムポックス(サル痘)の可能性を考えてみましょう。また、発疹がなく、発熱などの症状だけの場合もあります。
エムポックス(サル痘)かもしれないと思ったら
医療機関を受診することをおすすめします。
エムポックス(サル痘)は梅毒や水痘(みずぼうそう)など発疹(ブツブツ)のある他の病気と症状が似ていて区別がつかないことがあります。診察の結果、エムポックス(サル痘)の疑いが強いと判断されると、発疹やかさぶたなどの一部を取って、エムポックス(サル痘)ウイルスがいるかどうかを調べます。結果がでるまでには1~2日くらいかかることが多いです。この検査は希望すれば受けられるものではなく、症状などから医師や保健所が総合的に判断して検査をするかどうかが決めます。
受診の際は、「サル痘の感染を心配している」ことを伝えるようにしましょう。男性同士の性的接触によるエムポックス(サル痘)の感染が世界中で多数報告されているため、エムポックス(サル痘)感染の可能性を医療機関で伝えることにハードルを感じる人もいるでしょう。しかし、エムポックス(サル痘)の可能性を伝えることは、より早く的確な診断につながる助けとなります。
医療機関では、主として症状を緩和する治療を行います。不安があれば、生活上の注意点などのアドバイスを受けることもできます。発疹(ブツブツ)がかさぶたとなって落ちるまで約3週間は他の人へ感染させてしまう可能性があるため、セックスやスキンシップを控えましょう。また、感染防止のための生活上の注意も必要です。

エムポックス(サル痘)は発症してから2~4週間で自然に治ることが多いですが、著しく免疫力が落ちている場合などは稀に重症化することがあります。HIV陽性者で、治療をしていない/治療を中断している場合は、抗HIV薬を開始して免疫力を高めておくのはエムポックス(サル痘)に対しても良い選択となります。また、HIVに感染しているけれど気づいていない場合は、知らないあいだに免疫力が低くなっているかもしれないので、エムポックス(サル痘)に気をつけるとともに、HIV検査を受けることをお勧めします。

どんな医療機関に受診すべきか【東京都内】
エムポックス(サル痘)は2022年までは非常にまれな病気でしたので、日本ではサル痘(mpox)の患者を診断・治療した経験があるクリニックや病院はそれほど多くありません。そのため、ある程度の受け入れ準備が整ったクリニック・病院を受診したほうが、よりスムーズに診断・治療につながるでしょう。
東京都内には、エムポックス(サル痘)を積極的に受け入れている総合病院、ゲイフレンドリーなクリニックなどがあります。「エムポックス(サル痘)かな?」と思ったら、まずはこうした医療機関に連絡を取ってみることをお勧めします。その他にも、エムポックス(サル痘)に関して保健所が連携している地域の医療機関がある場合もあります。保健所に相談をしてみるのもよいでしょう。
また、HIV陽性で通院中の人は、エムポックス(サル痘)の症状があるかもしれないと思ったら、HIV感染症の主治医に連絡をとって相談をしましょう。
エムポックス(サル痘)を診療する主な医療機関【東京都内】
まずは、電話をかけて「サル痘に感染したかもしれない」と伝え、どのように受診したらよいか(曜日・時間・受診する際の注意など)をたずねてください。
下記は、エムポックス(サル痘)の診療を行うことを表明している東京都内の医療機関のリスト(2023年3月時点)です。体制が整い次第、他の地域や施設の情報を増やして更新していく予定です。また、この他にも、保健所が把握している医療機関がある場合もあります。
総合病院
- かかりつけ医などからの紹介状がない場合、初診時にはだいたい7,000円~1万円以上の特別料金(選定療養費)が必要となります。
- 休日や時間外の診療については、スムーズに対応できない場合があります。
クリニック
KARADA内科クリニック渋谷院
月曜~金曜 10:00~13:00、15:00~19:00
土曜・日曜:09:00-12:00、13:30-16:30
東京都渋谷区神南1-23-13 丸大ビル6F
03-6416-3127
新宿東口クリニック
月曜~金曜 10:00~14:00、15:30~19:30
土曜 10:00~14:00 、日曜・祝日(月1~2回) 10:00~16:00
東京都新宿区新宿3-17-5T&Tlllビル6階
03-5366-3389
石神井公園駅前えんじゅ内科クリニック
月曜~火曜、木曜~土曜 9:00~13:00、16:00~20:00
水曜、日曜、火曜午前は内視鏡検査のみ
東京都練馬区石神井町3丁目24-7, 岩田ビル3階
03-3995-7700
- 診療の一環でサル痘(mpox)の診察等を行っています。電話相談だけを行うことはできません。
- 検査は医師と保健所により、症状などから総合的に判断して検査をするかどうかが決めます。希望すれば必ず検査が受けられるわけではありません。
相談窓口(都内の保健所)
住んでいる地域の保健所に相談してみてましょう。相談はとく名で受けることができますが、病院への受診調整が必要になる場合、個人情報を聞かれることがあります。また、サル痘が疑われるかを検討するため、感染が疑われる機会の話を質問されることがあります。
About US
HIVマップでは、厚生労働省、厚生労働科学研究班等の依頼に基づき、ゲイ・バイセクシュアル男性の性の健康にとって重要な注意喚起として、当記事を掲載いたします。
編集 : HIVマップ制作チーム
協力 : 感染症コミュニケーション円卓会議
研究班名 : 厚生労働科学指定研究事業「バイオテロ対策のための 備蓄されている細胞培養痘そうワクチンの備蓄等,バイオテロ 病原体への検査対応,公衆衛生との関連のあり方に関する研究」
※感染症コミュニケーション円卓会議は、コミュニティの代表、医療・研究機関、行政が、感染症についての情報発信などについて検討、実施する任意の団体です。
参加団体・機関:akta、ぷれいす東京、MASH大阪、国立感染症研究所、国立国際医療研究センター、厚生労働省、東京都