HIV感染、早期発見のメリットって? HIV検査のQ&A
July 15, 2023 Modified: 2024.09.24

HIV検査を定期的に受ける人がいる一方で、初めの一歩が踏み込めずにいる人もいます。
新型コロナウイルスのパンデミックやエムポックス(サル痘)が流行する新感染症の時代。ゲイバイセクシュアル男性にとっては、HIVはいまも身近でもっとも気をつけるべき感染症の一つです。
今回は、大きく進歩してきたHIV医療を背景として、なぜ早めにHIV検査を受けたほうがいいのか。その理由について解説します。
検査を受けないのはなぜ?
いままで検査を受けていない人には、どのような思いがあるのでしょうか。
- HIVに感染していないと思うから
- 検査を受ける機会がなかった
- 検査の結果を知るのが怖い
- どこで検査を受けたらいいかがわからない
- だいたいセーファーセックスしてるから
- 不特定多数とセックスしてないから
根拠のない自信であったり、事実に直面するのを避けていたり、情報が不足していたり……。漠然とした不安を抱えたまま、後延ばしにしている人も多いのではないでしょうか。
検査でHIV陽性とわかったきっかけは?
それでは、実際にHIV陽性とわかった人は、どんなきっかけで検査を受けるに至ったのでしょう?
- 原因がはっきりしない症状や体調不良があった
- エイズ(後天性免疫不全症候群)発症や関連疾患と思われる症状があった
- セックスの相手が陽性だとわかった
- HIV以外の病気や手術にともなう血液検査
- PrEPを始めるために検査を受けた
体調が悪化したり、なにか他の病気をきっかけとして検査を受けて、その時点で初めてHIV陽性とわかる人が少なくないのです。
特に症状がないうちには検査を受ける気になれず、後延ばしにした結果とも言えるかもしれません。日本で新たにHIV陽性とわかった人に占めるエイズ発症者の割合は高く、2022年の速報値でも28.2%でした。
HIV感染の早期発見はメリットが大きい
現在ではHIVの治療が進歩していて、感染がわかってからも、抗HIV薬を飲みながら感染前と同じ生活を続けているHIV陽性者はたくさんいます。また、抗HIV薬を飲み続けてウイルス量が検出限界未満になり、それを6ヵ月以上持続している人は「U=U」と呼ばれる状態になります。その場合、セックスでHIV感染が起きるリスクがゼロになることが科学的に証明されています。
早い時期にHIV感染に気付いて適切な治療を受けると、ウイルス量をコントロールして免疫力を維持・回復することができます。これは、自分にとってもセックスの相手にとっても大きなメリットとなります。
Q1. 毎年健康診断をしているなら大丈夫?
学校や会社の健康診断では、通常はHIVの血液検査は含まれていません。HIV検査は本人が希望または同意しない限り、実施されることはないからです。
HIV感染が気になる場合は、自分で保健所やクリニック・病院などのHIV検査を受ける必要があります。

Q2. 直近でヤったけど検査は陰性だった
HIVの検査にはウインドウ・ピリオドがあり、HIVに感染していなかったことを確認できるのは、1~2ヵ月前までのことです。検査を受けるまでのあいだにリスクのあるセックスをしていれば、その間に感染の可能性はあります。
定期的に検査を受けて、身体の状態をチェックすることはとても重要です。


Q3. どこでHIV検査を受ければいい?
HIV検査を受けることができる場所は、保健所・検査所・病院・クリニック・などさまざまです。また、民間の会社によって、提供されているHIVのスクリーニング検査(郵送検査)もあります。




知ることで守れる未来がある
感染していることを知らずに放置していると、体内でウイルスが増え、免疫力の低下によってエイズや重い病気を引き起こす可能性があります。日本では、新たにHIV陽性とわかる人に占めるエイズ発症者の割合が3割と高いままです。つまり、検査を受けないまま放置・気にしない・気がつかないなどで、エイズ発症に至る人が多いことを意味しています。
エイズを発症して症状が重いと入院することとなり、肉体面だけでなく精神的にショックを受けたり、生活に大きく影響が出る場合もあります。早期発見・早期治療は、こうしたことを回避できる大切な方法です。
HIV検査を受けることで、自分の将来のリスクから身を守るアクションをとりませんか!
テキスト・文責:HIVマップ制作チーム
構成:池内